アスベスト調査の重要性と必要な流れ
目 次
1)石綿含有調査義務化
アスベストとアスベストによる健康被害
アスベストは、天然に存在する鉱物繊維の一種で、耐熱性・耐薬品性・強度と柔軟性が優れていることから屋根材、壁材、断熱材、床材などに利用されてきました。
しかし、アスベスト繊維を吸入すると深刻な健康問題を引き起こすことが分かっています。
アスベスト肺
悪性中皮腫
肺がん
- アスベスト肺
肺が線維化してしまう肺線維症(じん肺)という病気の一つ。
職業上アスベスト粉塵を 10 年以上吸入した労働者に起こるといわれており、潜伏期間は15〜20年。アスベスト曝露をやめたあとでも進行することもあります。
- 悪性中皮腫
肺を取り囲む胸膜、肝臓や胃などの臓器を囲む腹膜、心臓及び大血管の起始部を覆う心膜等にできる。
若い時期にアスベストを吸い込んだ方のほうが悪性中皮腫になりやすいとされ、潜伏期間は20〜50年といわれています。
- 肺がん
アスベストばく露から肺がん発症までに15〜40年の潜伏期間があり、ばく露量が多いほど肺がんの発生が多いことが知られています。
日本ではこれらの健康リスクを受けて、2006 年にアスベストの使用が原則禁止になりました。
しかし過去に使用された建材や製品にはまだ多くのアスベストが含まれているため、解体工事や改修工事の際にアスベストが飛散しないように適切な対策が求められています。
そして令和5年10月1日以降は建築物等の解体・改造・補修を行う場合、一部の例外はありますが全ての工事で有資格者による事前調査が義務付けられることになりました。
2)石綿含有調査の必要性
アスベストの取り扱いには厳しい規制が設けられていて、企業や業者はそれを遵守する必要があります。
事前にアスベストが使用されているのかどうかを有資格者がしっかりと調査し、含まれている場合はしっかりとした対応をすることが必要です。
建物のオーナー様など建築物の解体・改修工事を依頼される側の皆様にも、「石綿障害予防規則」「大気汚染法」など関係法令に定められた措置を行なっていただくことが義務付けられています。
戸建住宅におけるアスベスト含有建材の使用部位例
(資料:「目で見るアスベスト建材」国土交通省)
石綿に関する情報:厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト
出典:厚生労働省・国土交通省・環境省 「お住まいの住宅の解体・改修をご検討の皆さまへ」
前もって適切な対策を講じることが、作業者の安全を確保し、環境汚染を防ぎ、近隣の住民の健康を守ることに 繋がっていくと言えるでしょう。
アスベストの調査・除去をする上で必要な資格は以下のようなものがあります。
アスベストの調査・除去に必要な資格
石綿作業主任者 | アスベスト除去に関わる作業の計画立案、現場での指揮監督を行うことができる資格 |
石綿取扱作業従事者 | この資格がない場合、解体現場に立ち入ることや、アスベストが含まれた建材の運搬作業を行うことが出来ません。アスベストに関わる作業に必須となる資格 |
石綿含有建材調査者 | 事前調査を行うためには、この資格が必須 |
日本アスベスト調査診断協会への登録 | 令和5年9月30日までにアスベスト診断士を取得し、日本アスベスト調査診断協会に登録されている者。事前調査を行うことが可能です |
3)事前調査に必要な資格とは
建築物の解体等の事前調査は「建築物石綿含有建材調査者」、又は令和5年9月30日までに日本アスベスト調査診断協会に登録された者に依頼する必要があります。
また、令和8年1月1日以降は、特定工作物(特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣が定める工作物)等のアスベスト調査についても、有資格者が行うことが義務付けられます。
工事の種類ごとに必要な資格
1, 一戸建ての住宅、および共同住宅の住戸の内部の工事
特定建築物石綿含有建材調査者 |
一般建築物石綿含有建材調査者 |
一戸建て等石綿含有建材調査者 |
令和5年9月30日までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者 |
2, その他の工事
特定建築物石綿含有建材調査者 |
一般建築物石綿含有建材調査者 |
令和5年9月30日までに一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者 |
4)建築物石綿含有建材調査者
建築物石綿含有建材調査者は、解体・改修する建築物におけるアスベストの有無を調査する資格を持った専門家です。事前調査を行うためには、この資格が必須となります。
この資格は、厚生労働省・国土交通省・環境省告示第 1 号に基づく建築物石綿含有建材調査者講習を受講し、 修了考査に合格することで取得できます。
講習を受けるためには、建築に関する知識と一定の実務経験が必要です。
オレンジホームでは、一般建築物石綿含有調査者は9名が取得しております。(令和6年8月1日 現在)
- 一戸建て等石綿含有建材調査者
一戸建て等石綿含有建材調査者は、一戸建て住宅又は共同住宅(マンションや長屋など)の住戸の内部に使用されているすべての建材を対象とした調査を行うことができる資格になります。ただし、共同住宅のベランダ、廊下等の共用部分は調査対象外になります。
- 一般建築物石綿含有建材調査者
一般建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て等も含めたすべての建築物のすべての建材に対して調査を行うことができます。
- 特定建築物石綿含有建材調査者
特定建築物石綿含有建材調査者は、一戸建て等も含めたすべての建築物のすべての建材に対して調査を行うことができます。
2020年の改正時点では、一般建築物石綿含有建材調査者との違いは特になく、今後区別されていく可能性はあります。
5)まとめ
このように建築物の解体・改造・補修を行う時にアスベストの事前調査を行うことは非常に重要なことだと言うことが分かります。
一定規模以上の解体を伴う建築物等の工事の場合は、調査に加えて調査結果の届出も必要です。
アスベストに関する法令は健康被害などの観点から年々厳正化が進んでいますし、改正される検査基準や関連の法についても対応が出来ていなければいけません。
そのため建築物の解体・改造・補修を考えている場合は、有資格者が在籍する業者を選ぶことを意識してみると良いでしょう。
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